賃貸借契約の解約

卒業、就職、転勤、結婚、気分転換など、理由はさまざまですが、いま住んでいる部屋を引越すこととなった場合は、現在契約しているお部屋の賃貸借契約を解約しなければなりません。
解約については必ず「賃貸借契約書」に記載されていますが、一般的に契約期間内の途中解約の場合、「借主(入居者)から解約する場合には、○ヶ月前までに通告すること」、などとなっていますので、契約書で確認しておきましょう!
解約から敷金返還までの流れ | |
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◎解約申し入れ
⇒引越し日(退去日)が決まり次第、大家さん(不動産管理会社)に連絡
⇒引越し日に大家さん(不動産管理会社)に立ち会ってもらい室内チェック(立会いがない場合も有)
⇒カギを返却
⇒数日?数週間以内に原状回復費用などの見積もりが提示される
⇒物件の明け渡し完了後(カギの返却後)、1ヶ月以内に「原状回復費用+賃料不払い債務」等を差し引いて残額があれば、振込などで敷金が返還される
契約期間満了による解約 | |
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不動産の賃貸借契約の場合、「契約期間は2年間」となっていることが多いのですが、この場合でも2年間経過後に必ず契約が終了するわけではなく、2年経過後に双方の合意によって、さらに契約期間を更新することができます(定期借家契約を除く)。
通常、契約期間満了の1-3ヶ月前までには大家さん(不動産管理会社)から「更新するか?解約するか?」の通知書が届くと思いますので、解約したい場合は同封されている解約通知書(退去届)に必要事項を記入して提出期限までに提出すれば解約することができます。
もしも提出期限までに「更新するか?解約するか?」の回答をしなかった場合は、契約期間満了の翌日より更に満2年間の契約が更新されたものとする(法定更新)となっていることが多いと思います(契約書を確認しましょう)。
期間内解約(途中解約) | |
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契約期間が2年間となっていても、入居者の都合によっていつでも解約の申し入れを行うことができます(定期借家契約を除く)。
仮に賃貸借契約書に、
「賃貸借契約は2年間とし、この期間内の解約は認められない。但し残り期間内の賃料相当額を賃貸人(大家さん)に支払えば即時に解約することができる」
などとなっていた場合でも、この契約は賃借人(入居者)にとって明らかに不利な契約ですので、無効と考えられています。
また賃貸借契約書に期間内解約(途中解約)についての条項がない場合でも、「3ヶ月前までに解約の申し入れを行うか、3か月分程度の賃料を支払うことによって解約できる」との判例も出ています。
いずれにしても契約書に「期間内解約(途中解約)」についての条項があるか?どのような内容なのか?を必ず確認しておきましょう!
予告期間 | |
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不動産の賃貸借契約の場合、契約書の「期間内解約(途中解約)」の条項に、
「賃借人(入居者)は契約期間内であっても、賃貸人(大家さん)に対して1ヶ月以上の予告期間を定めて本契約の解約を申し入れることができる。但し予告にかえる1ヶ月分の賃料相当額を賃貸人(大家さん)に支払えば即時に解約することができる」
などと記載されていることが多いと思います。
上記の例ですと、「1ヶ月前までに解約申し入れを行うか、1か月分の賃料を支払えば、すぐに解約できる」という意味です。
大家さんとしても、空室期間はできるだけ短かくしたいので、「今日出て行きます。」、「はいそうですか。」とはいかないのです。
予告期間は物件によってさまざまで、「1ヶ月 or 2ヶ月」となっていることが多いですが、物件によってはさらに予告期間が長い場合がありますので、契約書で必ず確認しておきましょう!
※「6ヶ月前までに解約申し入れを行うか、6ヶ月分の賃料を支払えばすぐに解約できる」などとなっていた場合でも、その契約内容は無効と判断される可能性が高いので、念のため契約時に3ヶ月以内に訂正してもらいましょう(いずれにしても借主は、期間内解約の条項がない場合や、3ヶ月を超える予告期間となっていた場合でも、3ヶ月前までに解約申し入れを行えば、期間内解約ができると考えられています)。
例えばこんな場合は・・・
予告期間1ヶ月の物件で、転勤によって2週間後に引越さなければならなくなった。
・転勤が決まった日:「2018年3月6日」
・解約申し入れ日:「2018年3月7日」
・引越し日:「2018年3月20日」
・契約満了日(解約申し入れから1ヵ月後):「2018年4月7日」
上記のようになりますので、4月7日までの賃料は支払わなければなりません(1ヶ月未満の賃料は日割り計算して支払うことが一般的です)。
しかし契約によっては「月途中の解約は認めない」などとなっていることもありますので、必ず契約書を確認しておきましょう!
途中解約の方法 | |
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都合によって、いま住んでいる部屋から引越すこととなった場合は、大家さん、または不動産管理会社に連絡して解約する旨を伝えなければなりません。
物件によって方法は異なりますが、電話などで伝えただけでは証拠が残りませんので、一般的には、「解約通知書、退去届などの書類に必要事項を記入して提出する」ことが多いです。
解約通知書(退去届)は契約時にあらかじめ渡されている場合や、解約申し入れを伝えると、FAXで送信してもらったり、郵送してもらったり、不動産管理会社に取りに行くこととなると思います。
解約通知書(退去届)には以下のような事柄を記載します。
・現住所
・物件名
・号室
・名前
・転居先住所
・解約希望日
・退去日(引越し日)
・口座番号(敷金の返還がある場合の振込み先)
・退去時の立会い希望の有無
など・・・
解約申込みの撤回 | |
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解約申入れを行った後に、何らかの事情で引越しが中止などになったために、解約申入れの撤回をしたい場合でも、賃貸人(大家さん)の承諾がなければ撤回できないのが普通です。
賃貸借契約書には、
「賃借人(入居者)が解約の申し入れをしたときは、賃貸人(大家さん)の承諾なくして、これを撤回、もしくは取り消すことができない」
などとなっていることが多いので、勝手に撤回をすることはできないのです。
大家さん側からすれば解約申入れがあった時点で、次の入居者を探さなければならないので、すでに入居者募集をしていて、次の入居者が決まっている場合は撤回は認めてもらえないでしょう。
仮に次の入居者が決まっていない場合でも、1度、解約申し入れを行った以上、撤回を認めてもらえなくても文句は言えません。
いずれにしても入居者の都合で解約申し入れの撤回をしたい場合は、早めに大家さん、または不動産管理会社に連絡して、相談するようにしましょう!
お部屋探しと解約 | |
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賃貸物件から賃貸物件に引越す場合は、以下の2通りの方法があります。
■解約申し入れを行い退去日が決まっている
就職、転勤などで引越し日がある程度、決まっているので、いま住んでいる部屋の賃貸借契約を解約し、退去日までに部屋を探さなければならない場合です。
例えば「予告期間1ヶ月の場合」・・・
・解約申し入れ:「2019年2月15日」
・新しい部屋が見つかった:「2019年2月27日」
・賃料発生日(交渉次第):「2019年3月1日」
・退去日:「2019年3月15日」
解約申し入れから退去日までの1ヶ月間に新しい部屋を探し、契約しなければならないので、部屋を探す時間は限られていますが、いま住んでいる部屋と、新しく借りる部屋の賃料が被りにくいというメリットがあります。
■良い物件があり次第、解約申し入れを行う
良い部屋が見つかり次第、引越しをしたい場合は、部屋を探す時間は十分にあり、理想の部屋を探すことができるかもしれませんが、いま住んでいる部屋と、新しく借りる部屋の賃料が被りやすいというデメリットがあります。
例えば「予告期間1ヶ月の場合」・・・
・良い部屋が見つかった:「2019年年2月23日」
・解約申し入れ:「2019年2月24日」
・賃料発生日(交渉次第):「2019年3月1日」
・退去日:「2019年3月24日」
というようになりますので、いずれにしても、新しい部屋を借りるときは、賃料発生日(契約開始日・入居可能日)がいつになるのか?を確認し、可能であれば交渉して、できるだけ賃料発生日を遅らせてもらい、賃料が被らないようにしましょう!
賃貸人(大家さん)からの解約申し入れ | |
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賃貸人(大家さん)から解約する場合は、借地借家法によれば定期借家契約などを除き、
「1年前から6ヶ月以上前までに、賃借人(入居者)に対して、契約更新しない旨の通知を行わなければならず、さらに契約更新しないことについて正当事由(その部屋を必要とする特段の事情、地震によって倒壊する恐れがあるので建替えるなど)」が必要とされています。
この正当事由は、貸主(大家さん)がその部屋を必要とする明確、かつ合理的な事情がなければなりませんので、実際にはかなり限られています。ただ「立退き料」なども考慮されますので、
貸主(大家さん)がその部屋を必要とする事情+立退き料の額
などを総合的に判断し、正当事由があると認められれば、貸主(大家さん)からの解約申し入れが有効となるのです。(もちろんこの場合でも、1年前から6ヶ月以上前までに借主(入居者)に対して通知しなければなりません)。
※貸主(大家さん)からの解約申し入れには以上のように正当事由が必要ですが、この正当事由が認められることはかなり難しいので、実際には貸主(大家さん)と借主(入居者)が話し合い、立退き料等の金銭で解決することが多いようです。
もちろん正当事由がないと思い、立退き料をもらっても出て行きたくない場合は住み続けることも可能ですが、その場合、貸主(大家さん)との関係が悪化し住み辛くなったり、最悪、裁判で正当事由について争うこともありますので、それらも考えて結論を出しましょう(貸主が部屋を必要とする事情が薄くても、それを補完する立退き料の額によっては正当事由があると認められることも多いですよ)。
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