敷金返還の具体例(借主はどこまで負担義務があるか?)

まず理解しておいてほしいのは、「賃貸契約書等で特約があればその特約は原則、有効」だということです。
ただすべての特約(契約)を有効としてしまうと、借主(入居者)に不利な特約を押し付けられてしまうことになりますので、以下に該当する特約は無効とされています。
◎公序良俗に反する特約
◎借主に不利な特約
さらに敷金の特約については、過去の判例によると、下記(1-3)すべてを満たしていなければ有効と認められていません。
1:暴利的でなくかつ客観的、合理的な理由が存在する。
2:借主(入居者)がその特約の内容について理解している。
3:借主(入居者)が負担することを了承している。
いずれにしても敷金の特約についてはその有効性についてトラブルとなることが多く、裁判にまで発展するケースもありますので、退去時にトラブルとならないためにも、必ず契約前に敷金の特約について確認しておかなければなりません。
特約について詳しくは⇒敷金の特約
敷金返還の具体例 | |
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では敷金についての特約等がない場合(または特約が無効となった場合)、具体的に借主(入居者)はどこまで負担すればよいのでしょうか?
◎畳・フローリング・クロス(壁紙)の通常の汚れ

通常の生活では避けられない、「畳、フローリング、クロス(壁紙)」などの汚れ等(畳、クロスの日焼けなど)は経年劣化と考えられますので、借主(入居者)の負担義務はありません。
もちろん借主(入居者)の故意、過失、善管注意義務違反等で損耗させてしまった場合は借主(入居者)が原状回復義務を負うこととなりますが、その場合でも「経年劣化と通常損耗(自然損耗)」分を差し引いた額しか負担義務はありません。
◎畳・じゅうたんの家具、電化製品の設置跡
家具は生活していくうえで欠かせないものなので、例え家具を置いた跡が畳やじゅうたんに残っていたとしても、それは通常使用による損耗等と考えられますので、借主(入居者)の負担義務はありません。
また電化製品も、通常誰でも持っているテレビなどを置いた跡は、借主(入居者)の負担ではないと考えられます。
上記のように借主(入居者)の負担義務はない場合でも、契約書等で借主(入居者)の負担と特約として定められていることもあり、その特約が有効かどうかでトラブルとなることもありますので、入居時に家具、電化製品の下にダンボールや、へこみ防止材を置いて、退去時にトラブルとならないように心がけることも必要かもしれません。
◎テレビ、冷蔵庫などの後部壁面(クロス)の黒ずみ

いまの時代、テレビや冷蔵庫は誰でも持っており、生活していくうえで欠かせない電化製品ですので、テレビや冷蔵庫を置いたことが原因で、クロス(壁紙)が黒ずんでしまった場合でも、それは通常使用による損耗等と考えられますので、借主(入居者)の負担義務はありません。
ただ退去時にトラブルとならないためにも、テレビや冷蔵庫の裏には板などを置いて、クロス(壁紙)が汚れないようにすることも必要かもしれません。
◎タバコのヤニによるクロスの汚れ

通常のクリーニングでは除去できない程度のタバコのヤニのクリーニング費用は借主(入居者)負担と考えられていますが、この場合の「程度」の判断がとても難しいのが原状なので、退去時にトラブルとならないためにも契約時に確認したり、たばこは換気扇のところで吸うか、ベランダで吸うか(ベランダで吸うと隣、上下階に迷惑です・・・)、敷金返還をあきらめて?部屋の中で吸うようにするしかありませんね。。
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